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墨流し



昔は宮中の女人が川の水面に墨を落とし、その模様の変容を楽しむ宮廷遊びだったと言われる墨流し。
水面に創りだした模様を生地に染め写す。水流を利用して創る模様は一点一点表情が違い、流れ、色、そして作り手によっても全く違う雰囲気のものが生まれる。

自然をデザインするという繊細な感覚、その能力に長けた日本人ならではの技法だろう。
水面の模様を写しとった柄は、まるで風鈴の音色に「涼」を感じるように、見てるだけで涼しくなるような錯覚を受ける。
墨流しの創りだすデザインは全てが独特であり、作り手の予想だにしなかった柄が生まれることも度々ある。

染める度に新たな柄に出会う感覚。それは墨流し染めならではのものに思う。
その、偶然から生まれる世界に一つだけの柄と、見事なほどにそれが似合う「人」とが出逢った時、作り手としてこれ以上ない悦びを感じる。
そんな出逢いを見せてくれるのも墨流しならではなのかもしれない。

千花 木下恭兵

墨流し 墨流し 墨流し 墨流し

文・木下恭兵

Kyohei Kishita
色無地着物千花/chihana kimono
http://chihana.com/


写真・田中誠

Makoto Tanaka
Photographer http://tanakamakoto.com/